親子で楽しむ! 新連載「いきもの博士の研究室」ARTICLE

「実は臭くない!? カメムシ目は、奥深い! 」PART4

生き物が大好きで、なんでも知りたがりのダヴィンチ君。
家のすぐ近くにある、いきもの博士の研究室にいつも遊びに行っています。
優しいいきもの博士は、いつもダヴィンチ君の質問や疑問に答えてくれます。
そんな二人の研究室でのお話を中心に、昆虫をはじめ、生き物の生態、活動、不思議を
連載でお届けします。ぜひ、お子さまと一緒にお楽しみください!
これを読めば、生き物がもっと好きになる!

ダヴィンチマスターズ「いきもの博士の研究室」

 「実は臭くない!? カメムシ目は、奥深い!!」(PART1~4 ※全4編)

PART4 博士の休憩室「カメムシ目って? 」

目(もく)とは、生物の分類学用語で、生物の「分類階級」の一つです。分類階級とは生物を階層的に分類するためのまとまりで、小さいものから種(しゅ)、属(ぞく)、科(か)、目(もく)、網(こう)、門(もん)、界(かい)となっています。この他に、属と科の間に亜科(あか)、科と目の間に亜目(あもく)などが設けられ、さらに細かい分類がなされることもあります。ひとまず、広く扱うのは上記の7種類ですので、呪文のように「しゅぞくかもくこうもんかい」と覚えてしまうのがおススメです。これだけだと難解に見えるので、一つ、例を挙げてみましょう。ダヴィンチ君が見つけたクサギカメムシは、上にあげた種属科目網門界によって分類すると、次のようになります。

種:クサギカメムシ
属:Halyomorpha(ハルヨモルファ)属
科:カメムシ科
目:カメムシ目
網:昆虫綱
門:節足動物門
界:動物界

種は最小の単位なので、そのまま、クサギカメムシが当てはまります。その次のHalyomorpha属ですが、ここに属するカメムシは他にも多数います(属の中には1属1種という、種が1つしか属さない属もあります)。
続いてカメムシ科ですが、ここで近い仲間のセミやアメンボとは別れることになります。例としてミンミンゼミはセミ科、アメンボはアメンボ科です。
また、カメムシ科には、全てのカメムシが属するわけではなく、キンカメムシ科や、カスミカメムシ科といったように分かれています。次の目は、ダヴィンチ君が学んだような、色々なカメムシの仲間をくくったものです。一見まったく似てないように見える昆虫同士でも、同じ目であれば、共通点があるものです。
その次の昆虫綱、節足動物門、動物界はそれぞれ、昆虫、節足動物、動物すべてをくくったものです。私たち人間とは、動物界で合流します。
この「界」ですが、実はもっとも大きい括りながら、いくつに分けるかという議論に未だに決着がついていません。最も簡単に、「植物界」と「動物界」に分けた二界説から、細菌類を細かく分類した八界説まで存在します。
生物の分類学は、新しい種が見つかったり、分類の精度があがったりするたびに細かく議論する必要があるため、なかなか定まらないのです。近年では、遺伝子解析の技術が進んでいます。ヒトゲノムの解読完了が宣言されてから17年。人類は新たな視点から次々と分類を改めているのです。

ところで、クサギカメムシの分類を眺めていくと、一つ、違和感があると思います。Halyomorpha属。なぜ、これだけ日本語ではないのか。それは、この属に明確な日本語名がないことから来ています。分類学は、まずラテン語から定められます。

それを日本人が〇〇属と分かりやすい日本語名をつけて慣用的に呼ぶこともあるのですが、このクサギカメムシが属するHalyomorpha属は、慣用名が必要なほど、分かりやすさが求められる場面(ペットとしての販売など)がないので、明確な日本語名がないのです。

この、ラテン語の属名は、掘り下げていくと研究者の勘違いや、命名の自由さによってなかなかに面白いことになっているので、またの機会に紹介しますね。

次回 冬の「ガ」に迫ります!
つづく

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